BUMP OF CHICKENのライブに初めて行ってきた

2017/09/17、初めてBUMP OF CHICKENのライブに行ってきた。というかライブというものに行くのがほとんど初めてだった。

行ったことがあるのは銀魂華祭りとニコニコ動画の歌い手がこぢんまりとやったライブハウスのライブだけ。

「初めてBUMP OF CHICKENの」というか「ライブというものに、ほとんど初めて行ってきた」という感じだ。

 

前日にツイッターのタイムラインで見かけたんだけど、幕張メッセで開催されたそのライブは、全国ツアーらしい。ツアー名は読めなかった。えいごわからない。

 

あるフットワークの軽さに定評のある3人のグループラインで、「同僚がBUMP OF CHICKENのチケット2枚余らせているのだけれど行かないか?」とお誘いがあった。
15日のことだ。結構急。


正直BUMP OF CHICKENのことはほとんど知らない。カラオケで歌い古された天体観測は、歌えるけど原曲をウォークマンに入れて聴いたことはない。ラフ・メイカーはよくカラオケに一緒に行っていた友人が歌ってたからそこそこ知っている。カルマはテイルズが好きだった友人が歌っていたからサビくらいは歌える。曲の認知度はそのくらいだった。


曲を知らないと楽しめないかもなと思ったが、「こういうライブって行きたくても行けないもんじゃないか?これは運が良いのでは?」と思い至って是非買わせてもらうことにした。もう1人のフットワークの軽さに定評のある子は予定が合わず、私はもう1人同行者を探すことにし、見つかれば行くことにした。


一緒にライブに行っても楽しそうな友人に片っ端から声をかけたものの、良い返事は一件も返ってこない。示し合わせたんですかっていうレベルで誰1人引っかからない。
翌日16日は仕事だったので、職場でも後輩や同期に声をかけてみた。
誰 1 人 引 っ か か ら な い 。
そういえば明日の17日の昼にやる飲み会もことごとく参加率が悪かったなあ…と思い至る。部署から出て行く人の解散会なのにである。人徳のなさがうかがえる。ちなみに私も部署から出て行く人である。人徳のなさがうかがえる。


人徳がないからBUMP OF CHICKENのライブにも行けん…と休憩室で困り果てていると、後輩の女の子がやってきた。私の半年あとに採用された彼女は、後輩だけど6歳くらい年上だった。真面目な人で、最近周りが頻繁に結婚するので焦って謎解き街コンに行ったらしい。
その謎解きちゃんに「明日BUMPのライブ行かない?」とダメ元で声をかけてみたところ、聞くなり「はい!行きます!」と…。


フットワーク軽!


おかけでBUMP OF CHICKENのライブに行けることになった。

私の職場は24時間営業なので、17日の朝に仕事が終わり、家に帰るとライブの準備をしたが、ライブに行ったことはなかったので正直何を用意したらいいかわからなかった。

なるべく身軽に荷物を整えたけど、本当は手ぶらで行くのがよかったみたいだ。

道すがらにツイッターで「とりあえず泣く」「最初から号泣する」「ひとまずやばい」みたいなアツい感想ツイートをちらちらと拝見し、正直「楽しめるかな」と思った。曲も知らないしバンドが何人なのかも知らない。顔も知らない。前髪が長いことしか知らない。メジャーな曲しか聴いたことない。あとライブでノるのが苦手。音楽に合わせて体を動かすのが苦手な自分が、楽しめるだろうかと。

 

結論から言うと、楽しめた。
ここからライブで思ったことを書きたいと思う。ちょっと失礼なことも言っているかもしれないけど、素直な感想だ。


オープンは16:00、スタートは18:00。
チケットに番号があり、16:30くらいに会場に入ることができた。場所はCブロック。その後ろに一番後ろのDブロックがあったと思う。
私たちが入った時、Cブロックの1/3くらいが人で埋まっていた。ほとんどの人が立って待っていたが、待機時間の1時間半はとても耐えられずに地べたに座った。もしかしたら白い目で見られていたかもしれない。
後ろに来た古参ぽい3人組の女性が「はぐれたらもう会えないかもねw」「前の方行けるかな?」などと話しており、JKぽい2人組が私のケツを蹴って前に入って来たので、私は「ああ、なんかやべえとこに来てしまったかもな」と思い、テンションが下がった。

よく知らないバンドのライブに来て、知らない曲が流れて周りは「ファアア〜〜っっ!もうやばぁい!泣くんだけど!」とか叫んでる中に佇んでいるのは辛すぎるなと思った。光るリストバンドをつけても全く気持ちが付いて来ず、謎解きちゃんと後ろの女性3人が、メンバー登場と同時に雄牛のように突進してきた場合、どういう姿勢で踏ん張るかということについて話し合っていた。


スタッフさんが高いところに上り、拍手、降りて、拍手、みたいなカルチャーを拝見し、その後は暗闇からチューニングみたいな音がたまに響き、開演時間が近付いてきた。
周りの人たちは「フェア〜〜!!」とか「やばい緊張してきたんだけど!」と話していたけど、私と謎解きちゃんは台風のことについて話していた。結構ヤバイと言われていた台風の影響で、幕張メッセにも少し雨が降っていた。

 

開演に先立って注意のアナウンスが流れたあと、バンドのメンバーが登場したみたいだった。首が痛くなる位置にモニターがあったんだけど、まだ映っていなかったので前の方にいるお客さんの「ヒェアアアア〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!キアアアアアアアア!!!!!!」という声で登場に気付いた。


メンバーは1人ずつ登場したみたいで、何度か歓声が上がっていた。私と謎解きちゃんのいた位置からはステージかどこにあるのかさえ把握することができなかったので、私たちは「そもそもバンプって何人だっけ」「1人以上ということしかわからないね」などと話していた。

 

一曲目は、幕張メッセに来るまでに予習として聴いていた曲の中にあったと思う。チケットを譲ってくれた相手にどの曲を予習すればよいか尋ねると何曲か教えてくれた。そのうちの一曲だ。
イントロが流れたときに左隣にいた男の人が爆音で何らかの単語を叫んだので、私は曲に集中し損ねてしまった。イントロがかかった瞬間に泣いてる女の子がいたので、どうやらめっちゃいい曲らしい。
後から調べたら「GO」という曲だった。今もこの曲を聴きながらこれを書いている。

 

驚いたのがそのあと歌ったのが「天体観測」だということだ。正直、歌わないと思っていた。理由は、有名すぎるから。
有名すぎる曲を、バンドは避けるんじゃないかなってなんとなく思っていた。しかもすごく古い曲じゃないだろうか。周りのBUMP OF CHICKENが大好きな人たちも、BUMP OF CHICKENを大して好きではない人がカラオケで適当に天体観測を歌うことを嫌い、私が知らない、聴いたこともないような曲を好きなんだと思っていたし、そういうのを楽しむ意味もあるのがライブというものだと思っていた。


ところが、曲の演奏が始まったとき幕張メッセのあのコンクリートの床が揺れた。アースクェイクレベルの盛り上がりに度肝を抜かれた。
いつの時代の曲だろうがみんなで盛り上がれる曲を、彼らは大事にしているんだろうか。

 

 

「Ray」という曲はとても好きになった。あとから調べたら私の好きなkzさんの初音ミクが歌っているバージョンもあった。自分の好きなものとほとんど初めて見るバンドがコラボしていると親近感を感じる。

 

3曲を歌い上げている間、モニターには4人の男の人が映っていた。「前髪が長くて目が見えないタイプのバンドかな?」とはなんとなく想像がついていたものの、実際に見ると本当に見えなかった。こっちが見えてないのにどうやって我々を見ているのか?
でもそのあとに「後ろまで見えてるぜ」って言ってた。バンプは千里眼。

余談だけどカメラワークが殺到するほど良かった。Mステの100倍はかっこいいカメラワークになっていたと思う。

 

ドラムの人は千里眼ではなかった。寡黙そうな感じの人で、私の記憶が正しければ新井浩文だったと思う。ベースの人は金髪で、物販担当らしい。

ギターの人はたまに右目が見えていたので、私は自己紹介がされるまでずっと心の中で彼のことをマシュと呼んでいた。

ボーカルの人は、首にワクチンを投与した跡みたいなタトゥーがあって、ずっと見てしまった。もしかしたら四つ目の家紋だったかもしれない。彼の歌声ではない声を初めて聞いたんだけれど、変な話ちょっとゾクっとするくらい甘いトーンだった。下品な言い方すると下半身に来る感じ。子宮がぎゅっとなる感じだ。男の人もなるだろう。

金髪の人はおしゃべりも担当していた。
私がこのライブで一番嬉しかったのがこのMCでのお話だ。

 

金髪の人はBUMP OF CHICKENのライブに来るのが初めてな人はどのくらいいるかと聞いた。「ああこれは知ってるわやしろ優がやってるやつね」と思いながら初めての私たちは手を挙げた。意外なことに初めての人は結構いて、少しびっくりした。
BUMP OF CHICKENのライブが初めてだという人がたくさんいることを知ると、金髪の人は自己紹介してくれた。「BUMP OF CHICKENと申します はじめまして」と言った。そのはじめましてにちょっと感動してしまった。今まで知っているだけだったバンド、声を上げて好きだと言っていたわけじゃないけど、その歌に寄り添った日があって、楽しく歌った日があって、回りに回った偶然みたいな縁があって、その上で、BUMP OF CHICKENが言ってくれた「はじめまして」だった。うまく言えないけれど、印象に残った。
BUMP OF CHICKENは幼なじみのバンドで、千葉県佐倉市の人らしい。私は神奈川出身で今は東京に住んでいるけれど、佐倉にあるコスモス畑に行ったことがあって地名を知っていたので、またちょっと親近感。みんな末っ子と長男らしい。私長女。また親近感。

 

で、本当に嬉しかったのがここだ。
BUMP OF CHICKENのライブが初めての人、知らない曲とかあるかもしれない。イントロかかって周りの人が「キタ神曲!」とかめっちゃ盛り上がってるのに知らなくて「え?そうなの?神曲なの?」ってなるかもしれない。俺もライブとかよく行くけど、あとからめっちゃYouTube見る。でもよかったら周りの人に合わせて一緒にノって楽しんでください。そんで、後からYouTubeとかで聴いてください」ちょっとうろ覚えだけどこんなようなことを言った金髪の人は、「次の曲も知ってるかなぁ…」と呟いて弦に手を伸ばした。

 

私はすごく心が軽くなった。

 

正直、周りのファンの人たちみたいに楽しめるとは思っていなかった。だって熱烈なファンじゃないんだ。その時点で大きいハンデを背負っていると思ってた。
前日行っていた人にオススメの曲を聞いて、幕張メッセに着くまでに頑張って曲は聴いていたけど、当然覚えられないし。というか移動時間ほとんど寝てたし。
ほとんど知らない曲を歌うんだろうな思っていた。


このあとだってずっと、周りのみんなと同じタイミングで合いの手入れたり、手拍子したりできなかった。一緒に歌おうって言ってくれた曲も、歌えなかった。でも最初にこれを聞いていたから、終わったあとに胸を張って楽しかったと言える。
後ろの女の人にガンガン頭殴られたし、隣の男の人はワキガだった。ステージは直接見えないし、メンバーも見えたとしてかろうじて人の形をしているということしかわからない。真上のモニター見すぎて首痛めたし、水たまりで転んだ。でも胸を張って楽しかったと言える。

 

ボーカルの人は、MCとライブ最後の挨拶で「ライブに行って、こんなに感謝されるんだ」ってくらいありがとうと言ってた。台風が近付く中、帰れないかもとかたくさん不安がある中、それでも来てくれてありがとうと。それが本当に嬉しいって言ってた。やる方もそんなに嬉しいんだ。そんなに深い喜びに溢れているとは、知らなかった。歌ってる人がそんなに幸せなら、なんか来てよかったなと思った。

歌、上手だった。CD音源みたいだった。「花の名は」は新参者だけどじーんとしてしまった。
エフェクターをかちかちする音や、曲が終わって暗転して次の曲が始まるまでの間、前の方の人が呼ぶバンドメンバーの名前とか。そういうのがライブっぽかった。「ふじくん」しか聞き取れなかったけど、メンバーは返事してた。優しい。
メンバーが向き合って演奏しあったり、目配せしたり、歌う直前の息を吸う音、首をつたう汗とか、そういったものが生々しく、私も頑張って手を挙げていた。

 

もう一度BUMP OF CHICKENのライブに行くかはわからない。自分でライブのチケットを買うことはないかもしれない。でも、ずっと曲は聞き続けると思う。テレビに出ていたら嬉しくなると思うし、街に曲が流れたら口ずさむだろう。佐倉に行けば幼なじみ同士の末っ子と長男でできてるBUMP OF CHICKENを思い出す。 

 

 

全国ツアー、PATHFINDER。読めるようになったよ。
ベースと物販と金髪とツイッターとおしゃべり担当のチャマ、ギターボーカルの藤くん、ギターのヒロ、ドラムの秀ちゃん。みんな覚えた!YouTubeで曲も聴いた。出勤も退勤も遊びに行く時もいつも聴いてるよ。

初めてのライブ、楽しかった。
本当にありがとう。